結婚式場の集客経路の全体像と組み合わせ方

こんにちは、アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
結婚式場の集客は、情報媒体、相談カウンター、SNS、ウェブ広告、口コミと、手段の選択肢が増え続けています。一方で、それぞれの経路が集客の中でどんな役割を担っていて、自分の会場ではどう組み合わせるのがよいかを整理して説明できる人は、現場にも経営側にも多くはありません。今回は、結婚式場の集客経路の全体像と、その組み合わせ方の考え方を整理します。
結婚式場の集客経路は4系統に整理できる
結婚式場の集客経路は、大きく次の4つの系統に整理できます。
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媒体:
ゼクシィに代表される情報媒体(掲載課金)と、結婚式相談カウンター(成約課金)。掲載料や送客手数料を払って、式場を探しているユーザーとの接点を得る経路 -
運用型広告:
InstagramなどのSNS広告と、Googleなどプラットフォーム型の広告。広告費を払って、狙ったユーザー層への露出を直接つくる経路 -
アカウント運用:
SNS公式アカウントの運用と、公式サイトの運用(ブログなどのコンテンツ発信やUI改善を含む)。お金で露出を買うのではなく、自社の発信力と受け皿を育てる経路 -
紹介・口コミ:
知人からの直接紹介、結婚式に列席した人や挙げた人の投稿・口コミ。広告費がかからない代わりに、結婚式そのものの質が源泉になる経路
前半の2つ(媒体・運用型広告)はお金を払って接点や露出を買う経路、後半の2つ(アカウント運用・紹介・口コミ)は時間をかけて資産を育てる経路、という性質の違いがあります。

経路ごとに期待する役割は違う
式場集客のプロセスは、式場の存在を知ってもらう認知、候補として関心を深めてもらうエンゲージメント、フェア予約や来館という行動を起こしてもらうアクション、の3段階に分けられます。4系統の経路はこのプロセスのどこに効くかがそれぞれ違います。
媒体は、式場を探し始めたユーザーが最初に訪れる場なので、認知から比較検討まで幅広くカバーします。運用型広告は、まだ探し始めていない層も含めた認知の拡張と、一度接点を持ったユーザーへの再アプローチに向いています。アカウント運用のうちSNSはエンゲージメントを深めることに向いていて、公式サイトはあらゆる経路の最終的な受け皿としてアクションを受け止めます。紹介・口コミは、検討中のユーザーの背中を押す強力なエンゲージメント装置であり、紹介そのものがアクションの入口になることもあります。
実際、フェア予約などのアクションが発生する場所は公式サイト、SNSのDM、紹介などですが、ユーザーはそこに至る手前で運用型広告に触れていたり、口コミを確認していたりします。媒体で知り、SNSで好きになり、口コミで確かめ、公式サイトで予約する、という複合的な経路をたどるのが現在のユーザー行動です。この情報流通の構造がどう変わってきたかは結婚式場の情報流通と集客施策の変遷の解説記事で詳しく書いています。
ここで重要なのは、経路ごとに担う役割が違う以上、成果貢献を測る指標も経路ごとに変わるという点です。認知を担う経路はリーチや接触の量で測り、エンゲージメントを担う経路は関心の深まりで測り、アクションを担う経路は予約数で評価する。
これが本来の形なのですが、実際には全チャネルを「予約が何件来たか」という同一指標で一律に評価しているケースがあり、その場合は効果を見誤ることが多そうだと感じています。エンゲージメントを担う経路を予約数で測れば「効果がない」ように見えますし、ラストアクションだけで判断すれば手前の接触の貢献が消えてしまうからです。

媒体経由の集客の特徴
情報媒体と相談カウンターに共通する強みは、結婚式場を探しているユーザーがすでに集まっている場だという点です。ゼロから認知をつくる必要がなく、出稿すれば検討中のユーザーとの接点を持てるので、集客の立ち上がりの速さと量の安定感では今も他の経路より優位だと言えます。
一方で、掲載料や送客手数料は固定的なコストとして毎月重くのしかかりますし、媒体の中では近隣エリアの競合式場と掲載順位や見せ方で常に比較され続けます。媒体経由の集客に売上が依存するほど、掲載プランの引き上げ圧力を断りにくくなり、獲得コストが上がっていく構造になりがちです。
だからこそ、媒体は「載せて終わり」ではなく、自社の集客全体の中でどの位置を担わせるかを決めた上で付き合う経路だと言えます。掲載媒体との付き合い方や依存リスクの構造は、このカテゴリの別記事として詳しく書く予定です。
運用型広告の特徴
SNS広告やGoogleなどのプラットフォーム型広告は、ここ数年で式場の広告予算に占める割合が明確に増えている経路です。従来のブライダル媒体への投資を減らしてでも、こちらへ配分を移しているケースが増えています。
運用型広告の強みは、ブライダル媒体の外にいるユーザーへ直接リーチできることです。まだ式場探しを始めていない層への認知づくりも、一度公式サイトを見たユーザーへの再アプローチも、配信設定でコントロールできます。少額から始められて、成果を見ながら配分を調整できる柔軟さも媒体にはない特徴です。
ただし、成果は運用の巧拙に大きく左右されます。配信面やクリエイティブの調整を回し続ける必要があり、出稿すれば自動的に集客が増えるという性質のものではありません。媒体と同じ感覚で「お金を払ったのだから成果が返ってくる」と構えていると、期待外れになりやすい経路でもあります。
アカウント運用の特徴
SNS公式アカウントと公式サイトの運用は、自社の集客資産を育てる経路です。
SNSアカウントの運用は、式場探しを始めたユーザーとの接触を深め、比較される前に選ばれる状態を目指す取り組みです。何をどう設計するかで成果が大きく変わる領域なので、詳しくは結婚式場のSNS集客の設計と運用の解説記事で書いています。
公式サイトは、4系統すべての経路の最終的な受け皿です。媒体で知ったユーザーも、広告で接点を持ったユーザーも、SNSで好きになったユーザーも、多くは最後に公式サイトを確認してから予約という行動を起こします。ブログなどのコンテンツ発信で検索経由の接点をつくることに加えて、予約導線のわかりやすさや料金表記の信頼感といったUIの質が、他のすべての経路への投資効果を左右します。入口をどれだけ増やしても、受け皿が弱ければアクションの手前で取りこぼすからです。
アカウント運用に共通するのは、成果が出るまでに時間がかかる代わりに、積み上げたものが資産として残る点です。即効性を求める経路ではなく、続けるほど媒体や広告への依存度を下げてくれる経路だと捉えるのがよいと思います。
紹介・口コミという資産型の経路
紹介・口コミは、4系統の中で唯一、お金を払ってつくることができない経路です。そして効果の面では、かなり強力だと感じています。
知人からの直接的な紹介はもちろんですが、いま存在感を増しているのは、結婚式を挙げた人や列席した人の投稿です。式場を検討しているユーザーは、公式アカウントの発信だけでなく、実際にその式場を体験した人の投稿をよく見て判断しており、列席した結婚式が素敵だったという体験は、どんな広告よりも強い来館動機になります。
この経路も、施策に取り組んですぐ結果が出るものではありません。今日の施行の質が、数ヶ月後、数年後の紹介や投稿になって返ってくるという時間差があります。ただ、逆に言えばいい結婚式を作ると、それがちゃんと集客になって返ってくる時代になったとも言えます。商品の質と集客が直結するようになったのは、真面目にいい結婚式を作っている式場にとって追い風だと思っています。
経路の組み合わせは必要集客数からの逆算で決める
では、4系統をどう組み合わせるか。これは集客の絶対数ではなく、損益分岐点を超えているか、そして会社としてどのラインの利益を残したいかによって決まります。そこから必要な成約数と来館数が定まり、それを満たすためにどの経路へどの優先順位で予算を配分するかを決めていく、という順番で設計していくのです。式場の利益構造の読み方はブライダル業界の利益率と式場決算の解説記事で書いているので、詳しく知りたい方は合わせてお読みください。
予算配分の優先順位は、多くの式場で実際には次のような順番になります。
- 主要媒体への掲載: まず集客のベースをつくる
- 運用型広告: SNS広告やGoogle広告へ配分し、リーチを広げる
- 他の媒体の追加: それでも必要数に足りない場合に補う
- コンテンツ制作・アカウント運用: 余裕があれば資産型の経路へも投資する
立ち上がりが速く量が読みやすい経路から埋めていき、資産型の経路は余力で育てる、という順番だと言えます。
ただし、この優先順位は固定ではありません。アカウント運用や紹介・口コミといったオーガニックの経路で集客しきれている式場は、実際に媒体への出稿が少なくて済んでいます。資産型の経路が育つほど、お金で接点を買う経路への依存度を下げられるからです。目先の必要数は媒体と広告で確保しながら、資産型の経路を育てて構成比を少しずつ移していく。これが集客ポートフォリオの現実的な育て方だと思います。
そして配分を見直すときは、前に書いた通り経路ごとの役割に合った指標で評価することが前提になります。全経路を予約数だけで一律に測って「効果がない経路」を切っていくと、手前の接触を担っていた経路を削ってしまい、残した経路の効率まで落ちる、ということが起こり得ます。

まとめ
結婚式場の集客経路は、媒体、運用型広告、アカウント運用、紹介・口コミの4系統に整理できます。それぞれ集客プロセスの中で効く場所が違うので、期待する役割を決め、役割に合った指標で評価する。そして組み合わせは、損益分岐点と残したい利益から必要集客数を逆算して、優先順位に沿って予算を配分していく。これが集客経路の全体像と組み合わせ方の骨格です。
かつてはゼクシィにたくさん広告を出稿すれば、すぐに集客が増えた時代がありました。しかし今は、なにか1つの施策をやるとすぐに成果が上がるという時代ではありません。だからこそ、経路の全体像と役割を理解した上で施策を展開しているかどうかで、同じ予算でも成果に大きな差がつきます。この結婚式場集客のカテゴリでは、今回の全体像を起点に、販促費の考え方、媒体との付き合い方、口コミ・紹介の作り方など、各経路を深掘りする記事を追加していく予定です。
今回の記事ではほとんどご紹介しませんでしたが、ウェディングプランナー経験者の業務委託案件での働き方に興味がある方、自分だったらどんな働き方ができるのかとお悩みの方は、ぜひお気軽にお問合せください。






























































































