個人事業主にとっての経費とは?業務委託のウェディングプランナーなら、経費を計上して確定申告に臨もう
もくじ
フリーランスとして業務委託で収入を得ている方や、個人事業主の方にとって、事業の経営上経費はもっとも重要な要素の一つです。しっかり経費を計上しなければ、余分な税金を払い、自分の利益を損ねることになりかねません。
まずは、確定申告をしっかりとおこない、どのように経費を計上して証拠書類を残せばよいかを確認する必要があります。経費の正しい知識があれば、節税につながり、売り上げからの利益をより多く来年の事業の発展のためより役立てられるのです。上手な節税のためにも、正確に経費の計上方法への理解を深めましょう。
個人にとっての「経費」とは?個人事業主とサラリーマンの違い
所得税法第37条により、経費とは①売上を得るため直接要した費用の額(例:仕入・材料費)及び②利益を得るために仕事に関連して生じた費用の額(例:備品・交通費)であるとされています。
わかりやすくいうと、経費は事業を営むうえで直接及び間接的に必要になる費用一般を広く指すといえるでしょう。事業に関係する行為に使った費用、売上に貢献するために使った支出は全て経費になりえると考えて問題ありません。
ただし、税務署から事業のために使ったお金である点を否定され、経費の計上を否認される場合に注意する必要があります。
- 通信費(スマホ代)
- 家賃(在宅業務がある場合)
- 旅費交通費
- 外食費
- 外食代(クライアントとの打ち合わせなどの場合)
- ポールペンなど(事務・消耗品費)
個人事業主にとっての経費
個人事業主は様々な業務に必要な経費を自分で支払い、その記録をしっかり管理・保管しなければいけません。
売上から経費分の金額を引いた所得(儲け)に基づいて所得税や住民税が計算されるため、正確に経費を計算して差し引いたうえで確定申告をしなければ、税金が高くなって損をすることになりかねないのです。
あとで何に使った費用かわかりやすいように、プライベートの費用と業務に使った費用を分けて管理し、業務に使った費用については必ず領収書などの証拠を残すように心掛けるのがおすすめです。
ちなみに、個人事業主は、事業に関連する支出を全て経費とするのも理論上可能であり、経費に上限はありません。事業に関連する支出はなるべく経費にして、節税しましょう。
もっとも、経費が高額すぎて不自然だと思われた場合には、税務署から指摘されたり税務調査を受けることになったりするリスクはあります。
サラリーマンにとっての経費
サラリーマンにも、特別支出があったとして、個人の経費について自分で確定申告する制度である特別支出控除の制度があります。
特定支出(①通勤費 ②転居費 ③研修費 ④資格取得費 ⑤帰宅旅費 ⑥勤務必要経費)の合計額が給与所得控除額の2分の1(最高125万円)を超える場合に、確定申告を通じて給与所得の金額の計算上控除できる制度
しかし、収入に応じた高いハードルの金額面の制限があり、高額の費用を個人負担で支出していないと利用できません。そして、交通費などの費用はほとんどの場合会社が負担しますので、サラリーマンが個人として経費を負担するのは稀です。
節税効果がそんなに高くないという事実もあいまって、実際に特別支出控除の制度を使い経費を計上するサラリーマンは、全体の1%に届きません。
サラリーマンの方は、会社が負担してくれない通勤費、転居費、資格取得費などが相当な高額になる場合のみ、経費計上について検討すれば良いといえるでしょう。
何が経費になり、どこまで経費にして良いか。判断基準はどうなっている?
事業に関連する費用は何でも経費になりうるのは説明したとおりです。
ですが「何が経費になるのか、何を経費にしてよいか」について疑問や論点が生じるのは、事業に関連する支出か否かを判断するのが難しかったり、同業者との比較によっては、経費が否定されやすい現実があったりするからです。
事業に関連する支出か否かの判断は「事業を行っているから生じる支出」
「事業関連性」があると経費といえますが、より具体的には「その事業を行わなければ支出が発生する機会がないか」という基準で判断するのがわかりやすいでしょう。
たとえば、「友人との飲食代金」は事業を行っていなくても、当然支払わなければならない支出なので経費にはなりません。
いっぽう「顧客との会食代金」は事業を行わなければ支出する機会がないと考えられるので、経費になりえるのです。
同業者の一般的な支出額や常識的な経費の上限を意識する
税務署は「課税の公平性」の観点から、同じ業種の同じくらいの売上規模の方々が、同じくらいの課税額になっているかどうかを意識していると言われています。
同業者に比べて明らかに経費が高額だと、税務署は疑問に思い、調査のうえ経費を否認しようと考えるでしょう。
また、交際費は、事業に関連する人に対し売上貢献のために使った支出であれば広く経費として認められますが、売上総額の10%を超える場合は常識的でなく使いすぎであると判断されるようです。経費については、常識的な額に抑えるよう意識しましょう。
悩みやすい経費の証明方法や勘定科目について。どのように区分し記録に残すべき?
支出の実態を把握できる資料や証拠がないと、税務調査により経費計上を否認され、利息的性格をもつ延滞税や、罰則的性格をもつ過少申告加算税を課せられる恐れがあります。
税務調査に入られる場合に備えての、経費の証拠の残し方は重要です。そして、経費項目である勘定科目は、細かく様々な科目名があるため、疑問を抱きやすい部分です。
経費として「何をどのように」証明できるよう残すべきか
領収書やレシートといった、金銭を受け取った証明書を残しましょう。日付や金額・但書もしくは商品内容といった必要な情報さえ記載されていれば、手書きでハンコがあるかどうかなどの書式は関係ありません。
改ざんは許されませんが、メモやふせんにより情報を足しておくのはおすすめです。
また、領収書などの金銭を渡した証明書がもらえない場合でも、メールのやりとりなどの証拠があり、領収書がもらえなかった理由が常識的範囲内であれば、経費として認められるでしょう。
税務署から具体的金額や何に使った金額か聞かれた際に、明確に答え、ある程度証明できる証拠を用意しておく意識が必要です。
経費の勘定科目は重要ではない
会計用語である「勘定科目」とは、給料手当・接待交際費・通信費・雑費といった経費の内訳の分類です。経費の項目とも呼ばれます。
実は、勘定科目はそれほど重要ではありません。
消費税の扱いの違いさえ判断できればよいので、人件費とそれ以外がわかればなんでも良いのです。勘定科目が違っても、結論となる納税額に違いがなければ問題ないからです。
神経質にならず、区分が分からない場合は「なんとなく雑費」としてつけておけばよいですし、オリジナルの勘定科目を作っても問題ありません。
問題になりそうな「経費」の具体的事案を紹介。こんなときはどう計上する?
実際に経費としてよいか、疑義が生じそうな具体的事案をいくつか紹介します。
事業でもプライベートでも使う車を買った場合
個人事業主が事業でもプライベートでも使う車を買った場合、事業用とプライベート用の支出が混ざる支出が発生します。
このような場合には、「家事按分」という方法で経費の計算をします。
家事按分とは、事業で使用する比率分を明確な割合で計算したうえで経費とする計算方法です。事業で使う部分に関しては経費になり、プライベートで利用する部分は経費にならないのです。
家事按分の仕方ですが、税務署に尋ねられても答えられるように、明確な割合を定めなければいけません。車の場合は、月曜日から金曜日までを仕事、土日をプライベートと考えて購入費の7分の5を経費に計上するのがおすすめです。
ワンルームマンションの家賃の場合
車と同様に、個人事業主が自宅兼事務所として使用する不動産の家賃の支出がある場合には、家事按分によって経費を計算します。
家賃の家事按分の仕方として、全体の面積から事業に使用する面積の割合を計算し、その割合で按分する面積での按分方法が明確でよいとされていますが、ワンルームマンションの場合は面積割合を計算しにくいので問題が生じます。
ワンルームマンションの場合は、時間で按分する方法により経費割合を定めるのもおすすめです。
例えば、8万円の家賃のワンルームマンションで一日9時間、月20日(ひと月30日の場合)事業に使った場合の計算式は次のようになり、2万円を経費として計上可能です。
一人で作業のために入ったカフェの代金
一人でカフェで作業をした際の、コーヒーなどの飲み物代は経費になります。ただし、食事もした場合、事業に関係ない支出と判断されるため、食事部分は経費になりません。
レシートの余白や裏に、カフェの利用目的や行った作業をメモしておけば、税務調査で指摘を受けた際に、自信をもって経費だといえるでしょう。
接待交際費や会議費としての食事代
接待のため・仕事の打合せのために会食し、食事代を経費に計上する場合、個人事業主であれば問題なく経費にできます。
しかし、食事代は税務署に事業に関連した支出か疑問をもたれやすい経費ではあるので、いくつか注意すべき点をあげておきます。
領収書は必ずもらい、食事をした相手の名前や業務上の用途をメモしておきましょう。何度も自宅の近くの同じ店を利用するのは、業務での出費かどうか怪しまれやすいので、避けるのが無難です。
あくまで自分が支払った部分が経費になるため、数人で食事した場合に他人が支払った部分まで経費にすると、バレた場合当然否認されるので注意しましょう。
経費はどこまで計上できる?節税するために正確な情報はどこから得る?
個人事業主にとって事業に関連する支出は多岐にわたり、誰でもなるべく多くの支出を経費として計上し、節税したいと考えるでしょう。
何が経費となるかの知識をつけていくのが重要なので、疑問に思った支出についてはその都度経費になるか調べてみるのがおすすめです。また、経費と認められるかについては、現状の制度ではグレーゾーンの部分が大きいです。
安全な範囲で経費を計上するのか、税務署に指摘されるのを覚悟でグレーゾーンを経費に計上するのか、各自のスタイルで経費を計上し、自分らしい確定申告ができるのも個人事業主の醍醐味といえばいえるかもしれません。
事業が拡大し、グレーゾーンと考えられる支出も増えた場合には、専門家である税理士の手を借りるのもひとつの方法です。
フリープランナーの経費についてまとめ
個人事業主になると適切に経費を計上していくことが大切になります。
今回の記事の中で紹介しているものは経費計上についての一例ですので、正確な情報については税理士さんにご確認ください。