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2022/10/23

「ウェディングプランナーの価値の高さに”業務委託の働き方”で視野を広げ、気づいてほしい」株式会社Analogy・酒井絢菜さん

「ブライダルの世界も、ウエディングプランナーの仕事も、本当は大好き。でも…」
現在人手不足が深刻化するブライダル業界。退職理由や復帰しない理由はさまざまでしょう。

そんな状況を逆手に『Wedding Me Works』のキャリアアドバイザー・酒井絢菜さんは「あなたのウェディングプランナーの経験やスキルを、”いま”眠らせておくのは本当にもったいないです」と、きっぱり言い切ります。

酒井さんがプランナー経験者に知ってほしい業務委託の働き方とは?
まずは、「自分の得た経験とスキルの価値」を再確認する。そしてブライダル業界と、人生最大の幸せな時間を計画する新郎新婦と、職種は同じでも違う立場とアプローチによって、新しい関係性を築いてみませんか?

業務委託でのウェディングプランナーの働き方について、お話をしてくれたひと

【酒井絢菜さんのプロフィール】
学生時代より「ウェディングプランナー」の仕事に興味をもち、高校時代にはブライダル業界でホテルサービスのアルバイトを開始。大学時代にはゲストハウスでウェディングプランナーのアシスタントを務めるなど、憧れのプランナーになるため計画的に準備を進める。

大学卒業後はゲストハウスを全国で展開する大手ブライダル会社に新卒入社。会場は一顧客一担当制だったため、新規接客・打合せ・当日施工まですべてを担当。

5年の在籍期間中にCSリーダー・トータルウェディングリーダーに抜擢され、チームと課題と向き合い、担当会場は顧客満足全国一位として表彰されるなど、順調にキャリアを積んだ。

2017年より専門学校のブライダルビジネス科で常勤講師として転職し、教鞭をとる。担任として授業及び就職活動の支援を行い、学生の学校生活のサポート全般を担っていくなかで、ブライダル業界のサービスの幅広さや人材の豊富さを再確認するきっかけに。

多くの教え子に慕われつつも、「さらに広い視野で、違う角度からブライダル業界に積極的に関わろう」と決意する。

2020年、採用情報は一切出していない株式会社Analogyに自ら積極的にアプローチをかけ、代表に直談判のうえ採用決定。現在は『Wedding Me Works』にて、法人営業とキャリアアドバイザーを担当。

「ブライダル業界が本当に大好き。でも…この仕事を続けるのは…」と悩む多くの求職者・転職者にどこまでも親身に同じ目線で寄り添い、ときには姉や親のように厳しく的確にアドバイスする”生き方に悩むウェディングプランナーのお姉さん”。

Analogyには「酒井さんがいるから、ウエディングプランナーを続けられた。もう一度始めようと思った」との声が多数寄せられている。

なぜいま「業務委託」の働き方でウエディングプランナーのスキルが求められているの?

ーーウェディングプランナーの求人で「業務委託」の募集が多い現状に、とても驚いています。コロナ禍でブライダル業界がとても大変だった現状はよく理解しているのですが…。

企業側としては、100パーセント自社の社員で、きめ細かくクオリティの高い接客をアピールしたいと思っていました。とくに単価の高い商材を扱っている会社では、自社で社員が育っていないとおもわれてしまう部分もあるのでは?

【酒井】
そうですね。だから業務委託の働き方は、ほとんどの企業や会場サイドがオープンにしていない情報なので、どうしてもクローズド気味なんです。最近になってやっと「ウェディングプランナーにも業務委託での求人があると知った」方も多いでしょう。

ーーどうしていまブライダル業界で「業務委託」の働き方でウェディングプランナーが望まれているのでしょうか。正社員以外にも、アルバイトや契約、派遣社員など、正社員に比べフレキシブルな雇用・勤務形態は今までも存在し、募集も多かったはずです。

【酒井】
もともと、会場は閑散期、繁忙期にも対応できる、ちょうど真ん中の数のウェディングプランナーを確保していました。しかしこの体制は閑散期には余剰人員となって人件費がかかります。

余剰人員に対し、コロナ禍前からウェディングプランナーの見直しがかかっていたのですが、コロナ禍による自粛でさらに加速しました。

しかし、ブライダル業界の新規接客は閑散期と繁忙期の差が激しい現状や、イベントや大手媒体での広告によって会場下見の申し込みが激増する時期があるなど、人手が読めないケースが多々あります。

そんなとき、素早くスポットで入れる人員、かつさまざまな客層に対応できる「いま正社員として所属していない、フリーのウェディングプランナー経験者」が業務委託として求められているのです。

【どうして“業務委託プランナー”は会場や企業に求められているの?】

①コロナ禍によって式場に所属するプランナー数の見直しが進む。

②適正人数以下に人員調整が進み、会場は慢性的な人手不足、経験者不足に。
しかしイベントや繁忙期など集客は読めず、見学申し込みが爆発する期間がある。

③集客はあるのに新規接客に対応できる人数が足りない。
新卒やキャリアが浅いプランナーでは難しい客層やニーズの変化に対応仕切れない。

④固定費(正社員やアルバイトにかかる固定費用・求人費用・教育費用)をかけずに、経験者がいますぐ欲しい。
平日ではなく土日やイベント時に人手が欲しい。

ーー現在、正社員プランナーの採用には積極的な企業が多く見受けられます。
大変さも多いけれど「新郎新婦の人生の大切な瞬間のお手伝いをしたい」と、憧れている未経験の方からの応募も多い業界のはず。
新規プランナー募集で人材獲得は間に合わないのでしょうか。

【酒井】
ブライダル業界は「おふたりの人生で最も大切で幸せな瞬間に関わる」やりがいのある仕事ですし、トレンドの演出や装飾に関われたりと、キラキラした憧れが強い世界ではあります。

しかし、業界全体の課題でもありますが、未経験から採用の離職率が非常に高いんです。

他業種で営業や接客業を経験し、プランナーとして転職された方ですら「こんなに裏方が多く、数字を追う仕事とは思わなかった」と早々に音をあげてしまうケースもよくあります。

結婚式・披露宴は、平均総費用が約300万円を超える高額商品であり、おふたりにとって一生に一度の大きな買い物です。金額の大きさにひるまず、短時間でおふたりと深いコミュニケーションをとり信頼感を得て、慎重さと責任感をもって遂行できる営業力やスキルを、未経験ですぐ発揮できる新人はなかなかいないでしょう。

ウェディングプランナーの採用と教育は、他業界と比較して、本当に難しいんです。

ーーなるほど。経験あるプランナーを一度手放してしまったものの、新人を育てるには費用がかかる。
しかも育つまで時間もかかり、さらには採用した中で何人が残るか目途がたたない…。

【酒井】
だから、即戦力になる「一度離職していて、すぐにフレキシブルに対応してうごけるプランナー」が、切実に求められている現状があるのです。

この人材不足の状況が、ブライダル業界全体にとってよいとは決して思っていません。
しかし、プランナー自身にとっては「自分のプランナー経験の価値」について求められると実感できる状況で、かつ客観的に確認できる環境だと感じています。

業務委託の働き方で実感できる、ブライダル業界での「ウェディングプランナーの本当の価値」って?

ーー現在、株式会社Analogyで酒井さんが携わっている『Wedding Me Works』は、業務委託プランナーを求める企業側と、業務委託で働きたいプランナー側の「出会いの場」として機能するプラットフォームです。
さまざまなブライダル会場と企業に、たくさんの経験豊かなプランナーをつないできました。
会場側から、業務委託プランナーはどのような評価を受けているのでしょうか。

【酒井】
ほとんどの企業から、「きてほしいタイミングで人員をしっかり揃えられるようになった」とのお言葉をいただき、本来の意図である人員確保のニーズを満たせています。

それ以外で「業務委託プランナーさんがいろいろなこと教えてくれて、接客方法も勉強になるから助かります」というお褒めの言葉を多くいただいています。

会場に所属するプランナーはいつも変わらないメンバーで営業しているので、外部から来る方たちが自然に「いい刺激」になっているようです。

【会場側にとって、業務委託プランナーの加入でメリットを感じる点】

  • 必要な時期、必要な時間帯にすぐ来てもらえる。
  • 必要人員が費用をそこまでかけずに揃えられる。
  • 自社会場以外の、他会場の接客スキルや営業スキルを業務委託プランナーから学べる。
  • 自社プランナーが業務委託プランナーと交流し刺激を受ける部分が大きい。
  • 通常は知りえない他会場の技術や教育面についても知れる。

ーーなるほど。業務委託プランナーは単なるスポットの助っ人だけでなく、まったく違う環境で「刺激を与える側・影響を与える側」になりうるわけですね。

【酒井】
裏を返すと、業務委託プランナー側にとっても「自分のスキルと存在が求められている」のを感じつつ「自分の経験やスキル」を客観的に見る絶好の機会なんです。

いままで育ってきた環境とはまったく違う場所で、自分が学んできた接客力や営業力がどの程度通じるのか、”よい部分と足りなかった部分”を確認できるでしょう。

また、他の会社の技術や教育を知って、自分のものにできるチャンスもたくさんあります。

【酒井】
いままでプランナー同士の意見交換が率直にできる会場は、プランナー間に先輩後輩関係があるので、決して多くはなかったはず。

だから外部からフラットな立場の業務委託プランナーが入って「プランナー同士対等な立場で、カジュアルにさまざまな意見交換ができるようになった」といった声も聞きますね。

雇用側と働く側で、それぞれに良い影響を受け合える関係性になっているケースが、きちんと実現できているんです。

ーー業務委託のウェディングプランナーの働き方は、正社員やアルバイトとはどう違うのでしょうか。>

【酒井】
業務委託は正社員とは違い、雇用契約者とは対等の立場で契約を結びます。

会社員のような手厚い福利厚生は受けられないものの、責任やノルマは比較的伴わない身軽な立場で、現場に加入できるメリットが大きいですね。

基本的にシフトは自分の都合のよい日程で調整できますし、会場からの強要はありません。
案件で最も多い「新規接客」は、集客が見込まれる土日に入ってほしいニーズが非常に多いので、本業が土日休みの方であれば、副業としてぴったりの働き方が実現できるはずです。

ーー業務委託プランナーは、現在どのような仕事内容を任されていますか?
ウェディングプランナーの仕事の割り振りは、会社によって違うのですよね。
イベント接客や新規接客・担当と施工・当日立ち合いやアテンド…と担当が分業になっているケースや、下見・担当・施工・当日まですべて同じプランナーが担当する一貫担当のケースがあります。
「自分の経験が活かせる案件があるのか?」と不安な方や「興味はあるけどプランナー退職からブランクが長くて」と踏み出せない方もいるのでは?

【酒井】
現在『Wedding Me Works』では、主にイベント接客・新規接客・打合せ担当の3タイプの案件を取り扱っています。いま人気があるのは「イベント接客」の案件ですね。

大手会場や広告会社主催の大規模なブライダルフェアの接客なので、退職してからブランクが長い方や、経験が浅いまま辞めてしまった方でもチャレンジしやすい業務内容になっています。

接客に自信がついてきたり、勘を取り戻してきたら、新規接客にステップアップしていく…段階を踏んだキャリアアップや復帰も計画できるでしょう。

【酒井】業務委託の形態で経験のあるプランナーを欲している会場や企業は非常に多く、2021年のサービス開始から、扱う案件も会場も急増しており、現在も常時拡大し続けています。

今まで他社経験の業務委託プランナーを入れていなかった一貫担当制の人気会場が「イベント接客」プランナーを『Wedding Me Works』にて募集開始しました。

ーーサービス開始(2021.9〜)から、約1年が経過しましたが、『Wedding Me Works』に登録しているプランナーの方はどのぐらい増え、現在どの程度稼働しているのでしょうか。

【酒井】
現状(2022.08)で50名以上の登録者がおり、常時7割の方が稼働しています。登録したものの稼働できていない方は、まだ正社員プランナーとして在職中の方が多いですね。

じつは、現在登録しているプランナー数では「業務委託プランナーにぜひきてほしい」と切望する会場側のニーズに応え切れていない現状です。案件はたくさんあるのに、プランナーの供給が追いつかないのです。

ーーなるほど。プランナー側にとっては「何らかの仕事が必ず確認できる、選べる」状況なんですね。

【酒井】
現在『Wedding Me Works』に登録し、すでに稼働しているプランナーさんの中には、複数の会場と契約し、正社員時代より稼いでいる方もいます。また、生き生きと働いている業務委託プランナーの姿を見て、正社員の方からご相談を受けるケースもあります。

正社員での働き方にも業務委託の働き方にも、よい部分や注意すべき点、自分の性格や生活に併せて検討すべき点があります。

私が皆さんにお伝えしたいのは「ウエディングプランナーにはいま、いろんな働き方がある」のを、まず知ってほしいのです。そのなかで自分にとってのメリット・デメリットを整理し、選んだほうが、「ウエディングプランナー」としてのスキルが自分のキャリアや生き方に活かしやすいはずなんです。

【『Wedding Me Works』利用者たちから聞いた、業務委託を通じて感じたメリット】

  • またブライダルの仕事に関われて良かった。
  • いろいろな案件があって嬉しい。
  • 経験をきちんと活かしてきちんと稼げる。
  • プランナー同士や、ブライダル業界に新しい知り合い&繋がりができた。

酒井さんがウエディングプランナーとブライダル業界に「とことん向き合う」理由とは?

ーー今までのお話を聞いていて、酒井さんがブライダル業界を冷静に分析しているのと同時に「ウェディングプランナーのスキルをもっと活かしてほしい。そして幸せになってほしい」という強い気持ちを、ビシバシ感じます。
酒井さんも、ウェディングプランナー経験者ですよね。ご自身はブライダル業界や仕事に対して、どのように思っているのでしょうか。

【酒井】
わたしは、ウェディングプランナーになった人には大きく2パターンあると思っています。

①営業力をけたい、商品売りたい、コミュニケーション力つけたい人
…そのための手段がブライダルプランナーであった場合

②ブライダル業界に憧れて入った人
…キラキラした演出や装飾に憧れ、おふたりの晴れ舞台のお手伝いや幸せの後押しをしたい場合

で、私は完全に後者です。

学生時代からずーーーっと、なりたい職業は「ウェディングプランナー」でした。
おふたりの一生に一度の夢をかなえたい、幸せにしたいと、夢と憧れをもっていたんです。
でもどこか現実的に「キラキラした世界には苦労もあるんだろうな」と考え、高校時代からブライダル業界のアルバイトを始めました。

高校3年間はホテルでサービス、大学4年間はゲストハウスでプランナー補佐のアルバイト…と、かなり地道にプランナーになるために継続的に動いていたんです。

だから高校時代から数えて現在まで「ブライダルのキャリア」は通算15年目になります。

ーー努力がすごすぎて驚きました。
「キラキラした世界」に憧れていたというわりに早い段階で裏にある「大変さ」を疑い、厳しい現実を事前に知っておくために7年間アルバイトを続けた、ブライダル業界への愛情と根性が本物過ぎて…。

【酒井】
(笑)愛もあります。が、もう趣味の域ですね。

自分にとって他に趣味と言えるものがなくて「ブライダル業界にかかわる」のが人生通しての趣味かもしれません。
この16年間ブライダル業界をいろいろな角度から、いろいろな職種から立場を変えて見ているのに、全然飽きないんですよ。

ブライダルでサービスをしたり、プランナーしたり、ブライダル学校の先生をしたり、キャリアアドバイザーとして今の立場にいたり…。
自分が飽き性だってわかってる。

だから、ブライダルだけは絶対に飽きないように、自分でポジションを動かして、ずっとかかわり続けたいのかもしれないです。

※画像は専門学校講師時代。

プランナー時代、新人教育に携わるようになり、人が成長していく姿やプランナーとして一人前になっていく姿に感動した酒井さん。
「もっと人が成長していく過程に携わりたい。お手伝いがしたい」と教育に関心を強く抱き、ブライダルやサービスの専門学校の講師として転職する。
教育に携わって3年間で、人に教えることで自分が見ていた「ブライダルの世界」が、いかに小さく狭い世界だったのか気づいたそう。
世間には、本当にいろいろなブライダルの世界がある…広い視野でもっとこの業界を見たい!そう決意して、さまざまなリサーチを試みた結果、ブライダル業界と新しい関わり方とサービスを提供する現在の会社にたどり着いた。

【酒井】
憧れからブライダル業界に入った自分としては、ウェディングプランナーの仕事を続けていくのがいかに大変か、よくわかります。

約3時間の短時間で何百万もの高級商材を、初めてあったばかりのおふたりに具体的にイメージさせ、信頼を得て契約してもらう。数字のプレッシャーもおふたりへの責任も重い。

ウェディングプランナーの仕事は、本当にすごい仕事なんです。
誰にでもできる仕事では、決してありません。

だからこそ、ウェディングプランナーの仕事に対して真剣に向き合ってきたひとには「仕事は好きだけど、もう続けられない」と業界に失望し、あきらめたままでいてほしくないんです。

ーーウエディングプランナーという仕事への誇りと、愛が果てしなく深く大きいんですね。

【酒井】
仕事柄、たくさんのプランナー経験者や接客業の方に出会いますが、とにかく魅力的なひとだけらけです。考え方や行動力がとても面白く「生きているんだな」とパワーを感じます。

仕事の相談にきた方たちから、むしろ私が刺激を受けているんです。だからこそ相談にきてくれる方全員に「またブライダルに関われて良かった」と思ってほしい。

ブライダル業界の働き方は実はいろいろあります。
まずは、すべての働き方のメリット・デメリットを、きちんと理解できる仕組みを整える。

そのうえでプランナー自身のキャリアや生活スタイルにあわせた「働き方」が選択できる環境を整えていく。
ブライダル業界全体が活性化していくよう、これからもわたしができる役割を果たしていきたいです。

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