Magazine

2023/11/16

人材を長期目線で育成する企業は減り、個人は自分で成長しなければならなくなると思う話

こんにちは、アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

当社で運営している結婚式場とウェディングプランナー経験者の業務委託マッチングサービス「Wedding Me Works」での事例から、企業による人材育成が減っていく場合に、個人はどんなことを考えて実行していけばよいのかを考えてみます。

 

長期目線の人材育成機会は減っていく?

400mハードル日本記録保持者で、現在はスポーツコメンテーター・タレント・指導者などで活動中の爲末大さんが以前こんなツイートされていました。

「転職が当たり前になり働き方がもっと自由になると、組織は長期間属さない個人を育成する理由を失い、個人は自分のお金で自分を育成しなければならなくなると思います。仕事で得られるもの以外に外部に成長の機会を作らなければ、次第に差が開くのではないでしょうか。」

(元ツイのリンクはこちら▼)
https://twitter.com/daijapan/status/1456383752322437120

このツイートのリプ欄にも続くので、もしツイッターされている方はぜひ見てみてください。

これまでのいわゆる日本型の働き方は

  • 新卒一括採用
  • 終身雇用
  • 年功序列

この3つが特徴だったわけですが、近年では

  • 転職・中途採用の一般化
  • 成果に比例する報酬制度の導入
  • 早期退職制度の導入

など、精度も環境も大きく変わってきています。

こういった変化を踏まえると、今後は人材の流動性が高まり仕事に対する価値観も変化してきたことで、企業の人材への投資の考え方も変わっていくだろうなと思うんですよね。

 

企業が人材育成に力を入れなくなる理由

冒頭のツイートにもあったように、これから企業が長期的に人材を育成する意味は薄くなっていくと思います。

  • 転職が当たり前になり育成してもパフォーマンスを発揮する前に退職してしまう
  • 時代の変化が早いので長期スパンで組織・人材育成戦略を考えにくい
  • 人材リソースの調達方法が豊富になったため、育成しなくても事業目的を達成できる

こういった理由から、自前で社員を育成することへの投資対効果が今後より低くなっていくと想定されるからです。

今のところブライダル業界の新卒採用トレンドはあまり大きな変化は感じませんが(ここ2年は例外)、新卒でたくさん採用して育てようという考え方から、即戦力人材を中途採用か委託かで獲得しようと考え方が変わる企業は徐々に増えていくのでは?と予想しています。

少し補足すると、企業における人材への投資とは主に採用と育成の2つがあり、今後減っていくと思うのは特に後者の育成です。

育成を放棄する会社に人なんて集まるの?とも思われるかもしれませんが、社員の成長って会社にとっては手段でしかないんですよね。それが目的になることはない。企業の目的はビジョンやミッションの達成であり、社員の採用とその成長はそれを達成するための手段なのです(大事なので2回言いました)。

そして、会社の目的を達成するための手段として最も期待値が高いのはどれか?という選択肢の中で、これまではポテンシャル高い未経験人材を採用して社内で育成することだった、それが今後は流動化した人材プールの中から自社のフェーズやプロジェクトごとに様々な契約形態で最適な人材を調達することに変わるだろう、という話だと僕はとらえています。

もちろんこれは全体的なトレンドの予想であってすべての企業がこうなるっていう話ではないですが、日本全体で見るとそのようになっていくんじゃないかなと思います。

 

自分の実力は自分で磨いていくことが求められるようになる

このように企業が長期的な目線での人材育成への投資を減らしていった場合、個人は自分の実力を自分で磨くことが求められるようになります。

企業が社員に求めるのはパフォーマンスを出すことなので、その人が結果を出せそうな仕事を割り振ります。逆に言えば今は結果につながらなさそうなことを仕事として担当させる機会はどんどん減っていくわけです。

そうなると個人は今できること以外の領域の知識や経験を得る機会がほとんどない状態でキャリアを積んでいくことになります。新規プランナー経験は10年で自社会場ではそれなりに結果も出してきたけど、新規接客以外のことほとんど知らない…、みたいな。

このように、特に仕事と直接関係ない知識などは今以上に自分で学ぶ必要が高まると考えています。

そして自分で学ぶ場合の方法としては以下の2つがあります。

  • 独学で磨く
  • 社外のキャリアアップサービスを利用して磨く

自分でできる人はそれで頑張れば前者でOKなのですが、後者については社会人向けのビジネススクールやメンターサービスなどはここ数年でかなり増えてきた気がします。他の業界だと、プログラミングやデザインスクールもたくさんありますし、社会人向けのビジネス力強化!的なオンラインサロンもかなり多い。

そして第三者的なキャリア育成サービスやメンターサービスはブライダル業界でもこれから増えていくだろうと思っています。

ブライダル業界でもこうした流れの動きと言えるのかなぁと思っていますが、自分で頑張ろうにもどうしていいかわからない、でも会社の人にも相談できない(しても要領を得た回答を得られない)という人はこれからもっと増えそうなので、「自分の実力を社外で磨くためのサービス」ニーズは今後もっと大きくなっていきそうです。

 

企業目線での社員育成の考え方は変わるのか?

Wedding Me Worksをリリースして約2年になりますが、企業様からのお問合せも思っていた以上に好調でして、ブライダル企業でも人材リソース確保の方法は多様化してきているなと感じています。

ここまで社員育成投資は減ると書いてきましたが、ただ研修費用を減らすというわけではなく、手取り足取り教えるための研修に使っていた投資から、社員のパフォーマンスを最大化するための福利厚生(労働環境、インセンティブ、就労規約、等)への投資に変化していくだろうなと考えています。

真っ白な新人を時間をかけてじっくり育成するというよりも、自社のブランドやビジョンに共感してくれる人が自然と集まるような仕組みを作るための投資に変えていく、というイメージ。

企業として人材活用の幅は広がり、また働く人にとっても選択肢が多様になっていく今後、こういった人材育成のスタンスを柔軟に変化させられる会社が従事者側からも選ばれていきそうです。

***

他業界の事例として個人的に好きなのは「2019年1月8日。トヨタ自動車本社で実施された新年の社長年頭挨拶」。

・INSIDE TOYOTA #1 豊田章男からのメッセージ ~”自分”のためにプロになれ!~

この動画の中に出てくるこの部分。

皆さんは自分のために自分を磨き続けてください。
トヨタの看板がなくても、外で勝負できるプロを目指してください。
私たちマネジメントは、プロになり、どこでも戦える実力をつけた皆さんに、それでもトヨタで働きたいと心から思ってもらえる環境をつくり上げていくために努力します。
トヨタの看板がなくても外で勝負できるプロを目指してください。

どこでも戦える実力がある人が、それでもここで働きたいと思えるような場所を創る。これが今後の企業として社員を育成するスタンスとして最も求められている姿勢じゃないかなと思います。

 

企業の人材育成への姿勢が変化していく話のまとめ

会社の仕事を一生懸命頑張っていれば自分も成長できる!という時代は終わります。いや、もう終わってるかもしれません。

  • 個人:会社の仕事で成長できることと、社外で成長できることを見極めて自分で自分をプロデュースしていくことが必要
  • 企業:一流のプロが「ここで働きたい!」と思える環境や仕事を作ることが必要

時代のトレンドは明らかにもう変わってきているなと思います。

今回の記事の中でもご紹介したような業務委託案件での働き方に興味がある方、自分だったらどんな働き方ができるのかとお悩みの方は、ぜひお気軽にお問合せください。

この記事を書いたライター

新着記事