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2023/10/21

ブライダル業界の最近の人員状況や採用、転職、業務委託、フリーランスの状況について

こんにちは、アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。

当社で運営している結婚式場とウェディングプランナー経験者の業務委託マッチングサービス「Wedding Me Works」での事例から、最近のブライダル業界の企業における人員状況などについてをお送りします。

 

ブライダル業界の人員状況のこれまでの推移と現状

直近5年の業界を取り巻く人材状況の変化をざっと書いてみるとこんなイメージです。

207_ブライダル業界を取り巻く人材状況の変化

業界全体で見ればまだ人材不足ではありますが、「ほんっっっっっとうに人がいなくて困る」というピークは過ぎたかなと感じています。

2022年後半~2023年中盤くらいまでは、

  1. 緊急事態宣言などの影響で延期したカップルの施行もあったので結婚式の需要は増加
  2. 2021年からの退職者の増加
  3. 中途人材の新規採用が難しい上に22新卒も採用絞った

というトリプルコンボ状態でとにかく大変でしたが、

  • 2020年~2021年施行予定だったお客様の延期施行がほぼ完了した
  • マーケット内の新規需要が2019年比で10%~30%減とかなり減少しているの新規来館がそもそも少ない(よって施行も少ない)
  • 23新卒をかなり多めに採用したのでその人材が少しずつ戦力化しつつある

などの状況の変化から、まだ人材不足感はあるもののピークよりは落ち着きつつある、というのが現状だと考えられます。

 

結婚式場の人員状況と採用状況

なんとか人員数は揃えられつつあるものの、人員構成は変化してきていて、特に中間層・中堅クラスの人材がかなり薄い、少ないという状況の式場が多いと聞きます。

  • 新卒3年目くらいまでの人材は大量採用もあってたくさんいる
  • 5年目~7年目くらい、年齢だと20代後半のスタッフが退職してしまってかなり少ない
  • 10年以上、年齢だと35歳以上のベテランは一定残っている

207_プランナー人材構成の現状

こんな状態ですね。なお、このような体制になってしまっている理由としては以下のような点が考えられます。

  • 新卒のブライダル業界人気自体は衰えていない採ろうと思えば採れる。ただし新卒人口自体が減っているので質は変化している
  • 20代後半だと未経験でも他業界に転職できる(それに他業界からプランナー経験者は人気なので採用されやすい)ので減りやすい
  • そして20代後半くらいの経験者の中途採用が今はかなり難しい(他業界に行くから)
  • 一方33歳を超えると未経験で他業界への転職が難しくなるので転職しにくい=残る

この状況を踏まえ、現状企業側が採用したい人材と、求職者側の応募状況をざっと図解すると下記のイメージでになります。

207_採用と応募の現状

このように、結婚式場運営企業がプランナーとして中途経験者を採用するのは今はとにかく難しいと思いますね。

 

ウェディングプランナーの業務委託の働き方の状況

結婚式場⇔フリーランス・副業プランナーの業務委託契約での稼働はここ2年でかなり増えました。Wedding Me Worksの取り扱い案件数や稼働数も毎月増加してきていますし、ブライダル業界の他の同様のサービスの稼働も好調なようです。

ただ、今後も同じようにこのペースで業務委託案件が増え続けるとは思いません。

その理由を式場目線でのプランナー需要、プランナー目線でのリソース供給の両面から書くと、

  • 副業やフリーランスのプランナーが増えてきた:供給の増加
  • 23卒から新卒を大量採用しているところが多いので、プランナーの人数自体は揃うようになってきた:需要の減少
  • 新規来館数も施行数も減ってそもそも必要なプランナー人員数が減った:需要の減少

上記のようになり、需給バランスが需要過多状態から均衡に近づいてきたことが理由です。

式場側の考え方としては、これまでのようにとにかく誰でもいいからプランナー経験者の方に来てほしいという状態から、自社に合う人・結果を残してくれる人なら来てほしい、というようなスタンスに変わりつつありますし、その一方で業務委託を募集する式場側も増えてきているので、プランナーも自分の経験やスキルを活かしやすい案件を探す意識が出てきていますね。

少しずつではありますが、ブライダル業界の業務委託マッチングの市場ができてきたなと感じてはいるので、Wedding Me Worksももっといいサービスにできるように頑張りたいところです。

 

フリープランナー・クリエイターの状況

自身のブランドを運営するフリープランナーも増えてきましたし、フリープランナーに依頼するお客様も増えてきている(ように感じます)。

クリエイターも増えているとは聞きますが、直接の知り合いがたくさんいるわけではないのでたぶんそうなんだろうな、くらいの情報の精度です。

InstagramやTikTokを見ていると実際の結婚式の事例もたくさん上がっていますし、ガーデンや施設、島など結婚式場以外での施行事例を目にする機会も増えましたし、自由なスタイル、規制やルールに縛られないプロデュースをしたいと思って独立する人は今後も増えそうです。

ただ、フリープランナーの需給バランスで言えば明らかに供給過多なので、この道一本で生活できるレベルまで仕事を獲得できるようになるのは難しそうです。

これは余談かつ個人的な印象で恐縮ですが、本当に活躍されている方の仕事への取り組み方を見ると、本当に様々な情報発信や企画などをされているので、生半可な努力だとそこまでたどり着くことはできないんだろうなと思います。いや、ほんとすごいですよ。よくそこまでやれますね、って思います。

ちなみに、ブランド立ち上げ初期の方やまだそこまでは至っていない方を見ると、

  • 結婚式場との業務委託案件を受ける
  • ブライダル以外の仕事とも組み合わせたフリーランスとして活動する

この2パターンが多いかなと思います。

 

ブライダル業界の人材を取り巻く環境の今後の予想

誰の目線でブライダル業界の人材環境を捉えるかによって見方は変わるのですが、

  • 新卒や未経験者からの業界希望者は今後もそんなに減らなそう(日本人の人口減と同じペースくらいでは減るだろうけども…)
  • 経験者の中途採用(経験者の同業界内転職)は相当少なそう、なぜならプランナーの転職理由が同業内転職では解決しないから
  • 業務委託契約の募集案件と応募人材は増えるので、活躍するかどうかのマッチング重要度が高まりそう

ざっとまとめるとこんな感じかなと思います。

これを踏まえて結婚式場運営企業の採用やマネジメントという観点で捉えると、

  • 採用と業務委託の両面で柔軟にリソース確保・人員計画を考えていくとよさそう
  • 社員が長期で働きやすい環境を整えるためには、転職したくなる理由(土日休み、給与、労働時間)を解決する働き方を社内で作ることが必要になりそう
  • 逆に新卒で就社しても一定数は数年で辞めることを前提に人員計画を組むのもありだとは思う
  • フリープランナーに会場を開放するのもありかなぁとは思うものの、実際はかなり難しいので後回しかな

もし自分が今いたらこのように考えて施策を打っていきそうです。もし参考になれば。

 

ブライダル業界の人材環境の近況ついてまとめ

これまでのような採用→育成→定着という流れだけではなく、即戦力の中途採用、業務委託契約での単発案件対応など様々な働き方が増えてきました。

働き手にとっては自分に合ったスタイルが選べる、企業側にとっては柔軟なリソース確保ができるという点はメリットですが、今どういう状況でどのような方法が自分/自社にとってベストなのかをちゃんと見極められないといけないとも言えます。

今回ご紹介したような業務委託案件での働き方に興味がある方、自分だったらどんな働き方ができるのかとお悩みの方は、ぜひお気軽にお問合せください。

この記事を書いたライター

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