ウェディングプランナーの業務とは直接は関係ない勉強やスキルアップが重要になってくる話
もくじ
こんにちは、アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
当社で運営している結婚式場とウェディングプランナー経験者の業務委託マッチングサービス「Wedding Me Works」での事例から、ウェディングプランナー経験者が実務と直接は関係ない知識を身に着けることの重要度が高まってきている理由についてお送りします。
ブライダル業界での社内研修や一般的な公開セミナー、研修会のテーマ
結婚式場運営企業内の社内研修や、ブライダル業界で開催されているセミナーや公開研修、勉強会のほとんどは接客に関する内容です。
- いい結婚式をつくる方程式! スタッフを巻き込む現場作り
- 集客・成約率をUPさせる! 自社SNS媒体構築メソッド
- 成約率50%は当たり前!! 自分では気付かない弱点克服
例えばこんな感じ。これらは適当に検索して見つかったセミナー名から抜粋しました。
横のつながりが希薄なブライダル業界だとどうしても会社や式場内の狭い範囲での経験や知識=ブライダルのすべて、だと思い込みがちなので、こうした主要業務に関するセミナーを聞くことは意味があるとは思っています。なのでこれはこれで悪いとは思いません。
ただ、全体のバランスで考えるとかなり実務寄りの内容に偏っているようには感じます。社会人としての一般教養的な内容(ビジネスモデルや業界の市場規模、会計や業績管理の考え方、など)のセミナーや勉強会は検索してもほぼありません。
これは
- セミナー開催してまで伝えたいと思う人がいない(講師側の理由)
- そういった内容をぜひ聞きたいと思う人がいない(受講者側の理由)
この両方があると思っていて、直接業務に関係しないし知ったところで成果にも業績に影響しない、という理由から今後も行われることはきっとないんだろうなぁと思ってます。
職種に求められるスキルは常に変化していく
さて、これは異業界・職種の話ですが、近年の技術革新を背景にIT人材に求められることの変化してきたと言われています。
技術革新による変化とは、例えば
- Adobeが使えない非デザイナーでもCanvaを使えばそれなりのデザインが簡単に作れるようになった
- 非エンジニアでもShopifyやSTUDIOなどノーコードツールがあればそれっぽいサイトは作れるようになった
- 非マーケターでもGoogleの自動最適化設定をすればそれなりの運用結果を出せるようになった
などのことを指します。
この変化によって、ただきれいなデザインを作れるだけのデザイナーやただ仕様書に沿ってコードを書けるだけのエンジニア、ただ予算通りにウェブ広告運用だけができるマーケターなどの存在価値は徐々に薄くなってきており、その専門職種として第一線で活躍するためにはその職種の専門知識に加えビジネスに対する理解も必要になってきています。
具体的には、以下のようなスキルセットです。
- サービス対象ユーザーのインサイトから紐解いて結果につながるデザインをつくれるデザイナー
- ビジネスモデルと事業計画から必要な技術選定、組織設計ができるエンジニア
- CPAにとどまらず事業プロセス全体を俯瞰してLTVの最大化から施策の選定、実行ができるマーケター
要は事業プロセスにおける前後フェーズの領域理解をベースにして、自身の職務領域で必要なことを企画実行することが求められるようになる。これまで十分条件だったスキルが必要条件になり、十分条件を満たすためにはビジネス全体の理解が必須条件になる、と言えるんじゃないかなと。
これまでビジネスに関する知識やスキルは戦略コンサル経験者のような一部の専門人材のものだったように思いますが、これからはビジネスパーソンの一般教養のようになっていくと個人的には予想しています。
そして、この流れ(必要な職能変化)はブライダル業界で働く人にも起こるのではないかと思っています。
ブライダル業界でもビジネス知識理解の重要性は増す
ブライダルに限らずサービス業でも同様の職種要件定義の変化は起こっていくとは思いますが、IT人材のそれと比べるとスピードは遅そうです。
- (現時点で)IT力が事業の差別化要素につながりにくい
- 固定比率が高い&有形資産への初期投資が大きいので、ビジネスモデルレベルの構造変化が起きるスピードが遅い
- 文化的側面があるので変化に対する抵抗が大きい
理由としてはこんな感じ。
ただ、定型化された業務が今後デジタルに代替されていくことを考えると、大局的な流れとしてはブライダルでも同様の期待職能変化は起こっていきそうです。
先ほどのように書くならば、
- 未経験でも○○というプランニングツールを使えばそれなりのウェディングプロデュースができるようになった
- その結果、ただ決まった式場や商品を提案できるだけのウェディングプランナーの存在価値は薄れていった
こんな感じかなと。
こうなる前提とした場合に自身のプレゼンスを保つための方向性は2つあると思っています。
- ①:より深い知識・スキルを持つ
- ②:より広い知識・スキルを持つ
①は「この人にしかできないこと」を追求していくこと。特定の場所、デザインセンス、圧倒的なコミュニケーション力や提案力、など突き抜け方はいくつもあると思いますが、この人にお願いしたからこそこの結婚式ができた、と言える何かを持つことです。
②は今回書いてきたようなプランニング×○○の掛け算でバリューを出していくという考え方で、ビジネス、マーケ、デザイン、経営、など何でもいいんですけど、その両方(または複数)を高いレベルでできるからこそ事業にインパクトを与えるような結果を出せる、ということです。
で、①は正直よくわからない。自分がプランナーを経験していないのでそういうものはきっとあるんだろうなと思いつつ自分ごととしてとらえることができていない、という感じ。でもきっとあると思う。
②は確実にあると思う。現に新規で結果出してきた人がマーケを覚えてすぐに結果出したという事例もありますし、今後はマルチスキル人材の需要が業界内でも高まっていくと予想しています。
まずは業務に直接関係ない知識を身につけるという意識変革から
マルチスキル人材になるためには「今の業務には活かせないし直接関係ないけど新しい知識を今の業務を続けながら身につける」ことが必要です。
- 意識を持つ
- 機会を作る
- 知識になる
- 仕事に活かす
身につけるためにはこのような順番で進めていくのが王道で、まずは今回書いたような意識を持つ人が増えることがスタートだと思います。
最初の頃は一生懸命勉強したところで、成約率が上がることも顧客満足度が上がることもないでしょう。しかし、こうした知識はこれから何年後かには必要になる確率はかなり高いと思いますし、その時代の波が来てから勉強しても遅いんですよね。3年前から勉強してきた人とはスタート地点ですでに大きく出遅れることになるわけです。
いきなり新しいことを一人で始める、継続するのは大変ですが、意識を変えるだけなら誰でもできますし、意識が変わって自分の中で定着すると自然と行動も変わっていきます。
この記事がそんな意識の持ち方が変わるきっかけになると嬉しいですね。
プランナーに求められる知識やスキルが変化していくことについてのまとめ
ビジネスが分かる一番のメリットは「会社(または他社)はなんでこんなことをするんだろう?」というのを自分の頭で考えられるようになることだと僕は思っています。
会社から言われたことをひたすら頑張るだけなら別にこんなこと知らなくてもいいんですが、自分のキャリアは自分でつくるものという考え方がこれから広まっていくと考えると、会社の意思決定の背景を自分で考えられる、それを理解した上で自分の居場所を自分で決められるようになることはかなりの強みになるでしょう。
なので、会計でも戦略でもマーケでもデザインでも何でもいいんですけど、業務には関係ないことだけどちょっと勉強してみようかな?って少しでも興味を持ってもらえるといいなって思います。
今回の記事ではキャリア形成における意識の持ち方について書きましたが、ウェディングプランナー経験者の業務委託案件での働き方に興味がある方、自分だったらどんな働き方ができるのかとお悩みの方は、ぜひお気軽にお問合せください。