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2024/10/16

ウェディングプランナーからデジタルノマドへ。未経験からのスキルアップに欠かせなかった『先生』の存在【マーケター/開発・安藤基子さん】

ウエディングプランナーが転職を検討する際にぶつかる『異業種未経験』の壁。

どの業界でも営業職であれば、いままで培ってきたスキルを活かせそう。でも、結婚・出産・産後のワーク・ライフ・バランスのあり方を考えたとき、違う職種への転向に悩む方も多いのでは?

まったくの未経験の業種のスキルを学ぶうえで、ウエディングプランナーでの経験や体験をモチベーションに上手にシフトしつつ、目標と準備期間をしっかり設ければ、異業種への転向は決して夢ではありません。

元ウェディングプランナーの安藤基子さんが、結婚や出産を経験しながら、どのようにデジタルスキルを身につけ、IT業界で活躍できるようになったのかをご紹介します。

 

ウエディングプランナーから異業種に転向できた経験についてお話してくれたひと

お話してくれたひと

<安藤 基子さん:マーケター/エンジニア>
元ウエディングプランナーで、現在は株式会社Analogyのパートナーとして、開発や広告運用を担当。

ブライダル業界の在籍は新卒から8年ほどで、30歳を機に未経験から広告代理店へ転職。広告運用のノウハウを学んだ後に退職し、以降はフリーランスに。株式会社Analogyと業務委託契約を結び、以降5年間、頼れる裏方として活躍中。広告運用以外にもデジタルスキルを独学で高め、現在はサイト開発業務にも活躍の場を広げています。

結婚と出産・移住を経験し、そのたびにライフスタイルが大きく変化しましたが、リモートワークのメリットを最大限活かし、出産1年後の現在も仕事と家庭を両立。子育てと仕事の合間の時間で、さらにデジタルスキルを学び続け、より活躍の場を広げているのです。

安藤さんが担当する『マーケター』『サイト開発』のお仕事内容は?

<マーケター/広告運用のお仕事とは>
マーケターは、企業の製品やサービスを多くの人に知ってもらい、購入してもらうための戦略を立て、実行する仕事。市場調査や競合分析を行い、ターゲット顧客を明確化。その上で、広告、SNS、イベントなど、様々な手法を用いて商品やサービスの魅力を伝え、購買意欲を高めます。また、顧客との関係性を築き、リピート購入や口コミによる拡散を促すことも重要な役割を担います。

その中でも広告運用は、マーケティングの一環として、広告の効果を最大限に引き出すための仕事です。具体的な仕事内容は、広告媒体の選定・ターゲット設定・広告クリエイティブの作成・広告費の予算管理などが挙げられます。日々データ分析を行い、広告効果を測定し、改善を繰り返して、より効率的な広告運用を目指します。また、最新の広告トレンドやツールを学び、常に新しい手法を取り入れることも求められます。

<サイト開発のお仕事とは>
サイト開発とは、Webサイトを企画、設計、構築する仕事。企画段階では、サイトの目的やターゲット層を明確にし、全体の設計図を作成します。設計段階では、サイトの構造やデザイン・機能などを詳細に設計し、構築段階では設計図に基づいて、HTML・CSS・JavaScriptなどのプログラミング言語を使い、実際にサイトを制作します。

サイトの規模や内容によって、デザイン・プログラミング・サーバー設定など、様々なスキルが求められます。

ウェディングプランナーとIT業界は親和性が高い?デジタルスキルを学ぶまで

ブライダル業界の大手2社でウエディングプランナーを経験し、順調にキャリアを培ってきた安藤さんでしたが、30歳を機に、まったくの未経験でありながら広告代理店へ転職します。
転職の裏には、プランナー業務へ通して芽生えた「マーケティング」という概念への強い興味。そしてブライダル業界で働く自分の人生への、漠然とした不安があったのです。

プランナー時代に培われたマーケティングへの興味と意外な親和性

華やかな結婚式の裏側では、新郎新婦の理想の結婚式を叶えるため、綿密な計画と丁寧なコミュニケーションが求められます。
お客様のニーズを深く理解し、最適なプランを提案する経験の中で、安藤さんは「マーケティング」という概念に強い興味を持つようになりました。お客様の行動や心理を分析し、効果的な提案を行うことは、マーケティングの根幹をなす考え方です。


「 実は、私がウェディング業界に入った理由は、結婚式のプランニングそのものよりも、お客様の心理を分析し、最適な提案をすることに興味があったから。飲食店でアルバイトをしていた経験から、お客様の会話や行動を観察し、その背景にある心理を分析するのが好きだったんです。
ウェディングプランナーの仕事は、お客様の結婚という人生の大きなイベントに関わるため、その心理を深く理解し、最適なプランを提案することが求められます。この点が、私の興味と合致していました。」

 

プランナーの仕事は、お客様一人ひとりのためにカスタマイズされたサービスを提供するものでしたが、ブライダル業界を2社経験し、キャリアを重ねていくうちに、安藤さんはより多くの人々に商品やサービスを届けるための戦略を立てたいという思いを抱くようになりました。


「顧客の行動や心理に興味を持っていました。特に、なぜ顧客が商品やサービスを選ぶのか、そのメカニズムを深く知りたいと考えていました。広告は、顧客の心を動かすための手段の一つであり、その仕組みを学ぶことで、より深く顧客理解を深められるのではないかと考えたのです。」

 

仕事に打ち込むうちに、接客そのもの以上に数字で物事を捉え、ロジカルに考えることにより面白さを感じ始めていたのです。そして広告運用は、データに基づいて効果を測定し改善していくという点で、安藤さんの興味と合致していました。

そのいっぽうで、ウェディングプランナーの仕事は、お客様の感情に寄り添い期待に応えることが求められます。もちろん、そこにはやりがいもありますが、同時に大きな責任も伴います。体力的にも心理的にも負担が大きく、長く続けるのは難しい…とも考えていたのです。

思い切りの良さで未経験業界である広告代理店へ転職


「正直なところ、将来のキャリアに特別な計画があったわけではありません。ただ、30代になり、新しい何かに挑戦したいという気持ちがあったので、思い切って飛び込んでみたんです。
広告代理店は、多くの業界の企業と関わる機会があるため、様々な情報と経験を学べる環境だと考えました。また当時は、実践を通して学ぶ方が効率的だと考えていたので、スクールに通って学ぶより、実際に仕事を行いながらスキルを身につける道を選びました。」

 

もちろん広告代理店で働き始めた当初は、広告運用の知識は全くない状態。最初は、Excelの操作すらままならない状態だったそう。

しかし、周りの先輩社員に教えてもらいながら日々、即実践のなか、急速に業務を覚えていきました。特に顧客の行動データを分析し、広告効果を測定する仕事に、積極的に取り組みます。ブライダル業界で顧客の行動を分析していた経験が、広告運用にも活かされたのです。

やがて1年間という短期間で複数企業の広告運用を担当し、総額で大きな規模の広告運用を任されるまでに。非常に短期間で成長した背景には、何か秘訣があったのでしょうか。


「特別な秘訣があったわけではありません。ただ、転職先は未経験の私が採用されるほど、社員の入れ替わりが激しく、結果を出せばすぐに大きな仕事を任せてもらえる恵まれた環境でした。
当時の私は運にも恵まれた部分もありましたが、とにかく目標を達成したいという強い気持ちで、必死に取り組んだ結果だと思います」

 

会社に入った当初から、一定の金額を運用できるスキルを身に着けたら、次のステップに移動したいと考えていた安藤さん。

転職して1年を過ぎた頃に結婚し、現在のパートナーと移住を考えるようになりました。そのときに考えていた候補地は、淡路島や長野など、自然の多い環境での暮らし。住むには夢がありますが、仕事を新たに見つけるには難しい環境でもあります。

そこで転職について相談したブライダル時代の知人の紹介により、株式会社Analogyでの業務委託を提案されたのです。

新しい生活をスタートしようとしていた時期だったので、マーケティングのスキルを活かし、在宅でできる仕事は魅力的。また、フルリモートという働き方も、結婚後出産を考える安藤さんにとっては大きなメリットでした。

ノマドワーカーとして生き残る!デジタルスキルを広げるために大事な「先生」との出会い

ウェディングプランナーから広告運用、そして現在はフリーランスの開発者として…。安藤さんのキャリアパスは、現代の働き方の多様性とフリーランスとして生き残るために必要なことが見えてきます。

株式会社analogyのパートナーとして、すでに契約6年目を迎えますが、その裏には新たなデジタルスキルを身に着ける『変化への対応力』と、重要な転換期にアドバイスをくれた『先生』の存在がありました。

環境変化と山口さんとの出会い。そして開発スキルの習得

安藤さんが開発の仕事を始めた転機は、Analogyの開発担当者・山口さんの声がけでした。

「僕が教えるので、開発の仕事も手伝ってほしい」と、広告運用業務のかたわらサイト開発にも携わるチャンスを得たのです。

もちろん、この時点での安藤さんは、開発関係のスキルはゼロ。まったくの未経験です。人によっては、あまりの突然の申し出に、まだ準備ができていないのにと尻込みしてしまうでしょう。
しかし安藤さんは、この提案を大きなチャンスととらえました。


「自分の年齢とキャリアを考えたら、ものすごくありがたい話だったと思います。
何か別のデジタルスキルを身に着けたいと思っていたものの、プログラミングは独学では、ぜったいに限界があるからです」

 

山口さんが教えてくれるのは基礎的な部分と、詰まったときのスムーズな解決への道筋です。
プログラミングの学習方法についてもアドバイスをしてくれました。例えば、「Progateで学習する」「YouTubeでこの動画を見る」など、自宅で勉強するうえで具体的な学習方法を教えてもらえたのです。


「独学ではどうしても限界があり、詰まった際にずっと同じ部分で足踏みして時間を浪費してしまうのですが、山口さんのおかげで実践しながら効率的に学ぶことができました。山口さんがいなかったら、ここまでプログラミングのスキルを身につけられなかったと思います。
山口さんは、私が分からないところを丁寧に教えてくれるだけでなく、私が自分で考えて解決できるように、ヒントを与えてくれるんです。
また、分からないことがあった時に気軽に質問できる存在でいてくれた点も大きかったですね」

環境の大きな変化のなか対応し生き残る活路を開いた新しいスキル

実は安藤さん、産休に入ったタイミングで広告運用の仕事を続けるのが難しくなってしまった時期がありました。
リアルタイムで&スピーディに対応し続けなければならないマーケティング業務において、長期不在となる安藤さんの代わりの人材を探すのは仕方のないこと。また正社員とは異なり休暇後の復帰も業務委託では確約されていません。
フリーランスなら、それぞれ状況は違えど誰もが突きつけられる厳しい現実です。


「そんなとき、身に着けていた開発のスキルが、フリーランスとして継続していく道を切り開いてくれたんです。広告運用業務での即時復帰は難しいが、開発業務なら人手が足りないので、引き続きお仕事を継続できますよとAnalogy側から提案していただいて。おかげで産休から復帰後、すぐに仕事を開始する目途が立ちました」

安藤さんのように、ウェディングプランナーからデジタルマーケター、そしてプログラマーへキャリアチェンジを遂げることは、決して簡単ではありません。
しかしここで注目して欲しいのは、変化を恐れず新しい分野に挑戦する姿勢と、実践しながら教えてくれる❝先生❞の存在。
新しいスキルを身につけるには、周囲や指導者のサポートも重要な要素になるのです。

<安藤さんのキャリア形成から学ぶ『異業種への転職』成功へ3つの秘訣>

・明確な目標設定と準備期間の確保
目指すキャリアと必要なスキルを明確に定め、それに必要なスキルを身につけるための準備期間を設ける。スキルを手に入れるには助走期間が必要と割り切る。

・思い切りの良さとすぐに動ける行動力
少しでも興味があった際に提示された機会を逃さないフットワークの軽さや、すぐに回答できる決断力の速さは重要!

・スキルを学ぶ上でいつも導いてくれる先生の存在
独学で新しいスキルを学ぶには限界があり、勉強方法の提案やつまずいた時に解決策のヒントを与えてくれる先生が必要

結婚・出産・移住…人生の大きな転換期に負けない!柔軟な働き方と生き方を見つけるために

結婚後、淡路島や長野など、自然の多い土地への移住を視野にさまざまな場所を検討していた安藤さん。
しかし、コロナ禍を機に不動産価格が高騰し、いったんは計画が難しくなってしまいました。その後、子どもが生まれ、現在は子育てしやすい環境を求めて、首都圏から滋賀県の大津市へ。リモートワークに強いデジタルスキルの強みを活かし、当初と形は違えど移住の夢を叶えたのです。

デジタルノマドだから乗り越えられた移住後の待機児童問題

現在安藤さんは、滋賀県で築60年の物件を改修して住んでいるのですが、庭にはときおり鹿が遊びにくるなど、とてものどかで自然豊かな環境。
大津市は京都・大阪の大都市へのアクセスも良く、新たな移住先として注目を浴びている地域であり、過疎化が進む地方とは真逆で、人口が急増しています。


「大津市は、自然も豊かで子育てしやすい環境ですが、一方で待機児童問題も深刻です。
もし私が従来通りの働き方をしていたら、保育園の入園が叶わず、仕事を辞めなければならなかったかもしれません。」

安藤さんは、産前から産休後にAnalogyで就労している(=働いている)事実の証明が可能であったため、待機児童問題という壁を乗り越えることができました。
無事子どもが保育園に入園し産休から復帰したあとも、場所にとらわれず仕事ができるデジタルノマドのメリットを強く感じています。


「自宅で仕事ができるので、子どもの体調が悪い時でもすぐに対応できますし、子どもの一番かわいい時期の成長を間近で見ながら働けます。いまの働き方は私にとってメリットが大きく、しばらくはこの環境で働き続けたいと思っています」

安藤さんから学ぶ人生の転換期を乗り切るための準備方法

安藤さんは、結婚や出産、移住など、人生の大きな転換期を経験する中で、常に新しいスキルを身につけることで、柔軟な働き方を実現してきました。


「ウェディングプランナーの仕事はお客様との対面が中心でしたが、デジタルマーケティングやプログラミングを学びスキルを広げ、リモートワークの実現が可能になりました。
新しいスキルは、今後生きていくための選択肢を広げる手段だと思っているんです。
常に新しい知識やスキルを身につける時間は、仕事に対するモチベーション維持にも役立っています。常に新しい環境への挑戦が、自分自身の夢を叶える可能性を切り開いてくれました」

 

安藤さんはまだ見ぬ人生の転換期にそなえ、これからも新しいスキルを学び続け、様々なことに挑戦していきたいと考えています。

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