#05 【Wedding Me Works】サービスの軌跡_ビジネスモデル設計編
もくじ
こんにちは、アナロジーの市川(@analogy_ichitk)です。
当社で運営している結婚式場とウェディングプランナー経験者の業務委託マッチングサービス「Wedding Me Works」のサービス立ち上げからの軌跡を残すストーリー。今回は具体的なビジネスモデルをどのように考えて設計していったのかの話をお送りします。
前回の記事はこちら。
・#04 【Wedding Me Works】サービスの軌跡_企業の課題・ニーズ編
2022年時点のプランナーと企業の課題・ニーズ
ここまで書いてきたように、プランナーと企業側それぞれの「ブライダルの仕事へのニーズ」は、以下のように捉えていました。
プランナー側の課題とニーズ
多くの人材がブライダル業界を去ったものの、仕事へのやりがいや情熱がなくなったわけではなく労働環境や雇用条件がその理由である方がほとんどでした。
そのため、プランナー側の課題とニーズは以下のようなにまとめることができます。
- 頑張った人や成果を出した人が金銭的にちゃんと報われること
- 様々な働き方でも、一人一人が自分らしく活躍をできること
- 自分の仕事を自分で選べること(会場、接客内容、等)
- ライフステージに合わせて働き方を自分でコントロールできること
- 自分のプロデュースブランドを育てながらでも利用できるサービスにしたい
つまり、これまでのような正社員フルタイムではなく、稼働の柔軟性が高くパフォーマンスに応じて報酬が得られる仕組みがあればよいと考えました。
企業側の課題とニーズ
一言でまとめると「人材不足に起因する企業課題を解決するためのプランナーリソースの補充」であり、具体的には以下のような内容です。
- 新規接客や担当を持てる人を紹介してほしい
- できれば経験者を正社員で採用したいが、単発案件稼働を希望するならでも構わない
- ただし、その場合未経験の人に教える手間はかけられないのでNG
- すぐに入ってくれる人がいい
- 報酬単価はそこまでこだわりはないが、社員とあまりにも差がある場合は考慮したい
また求める人材の稼働に関しては、
- 即戦力であること
- 稼働の柔軟性が高いこと
- 報酬等の条件設定を企業側で考えられること
これらの条件を求めるところが多かったです。
Wedding Me Worksのビジネスモデルを考える
プランナーと企業の両社の課題を解決してニーズを満たすためには、どのようなサービスがあればいいのか?
ブライダル業界だけでなく人材系サービスもいろいろと調べ、候補に挙がったのは以下の3つの案です。
- ①業務委託案件や求人情報を掲載するメディアのモデル
- ②式場からの接客業務依頼を弊社が業務委託契約で受け、それを別のフリーランス/副業プランナーに再委託するモデル
- ③式場とプランナーは直接契約できるプラットフォーム型のモデル
①メディアモデルの検討
アナロジーが業務委託や採用にかかる求人メディアを運営し、企業から広告掲載費または成功報酬型で紹介手数料をもらうモデルです。
最もわかりやすいモデルではあるものの、運営側の工数が膨大であること(特に法人営業)、プランナー集客難易度がかなり高いことから、この案は最初に却下になりました。
メディアってホント大変なのよ…。
②再委託モデルの検討
式場運営企業は弊社と契約することになるので、契約上の責任はアナロジーが負うことになり、企業から受け取る委託料から運営コストを差し引いてプランナーに再委託料を支払うことになります。
メンバーのアサインやコントロールを運営側でしやすいことがメリットではあるものの、
- 事業運営にかかる工数が大きいので運営コストが高くなりやすく、社内リソースも必要になる
- 運営にかかるコストが大きいと、企業から10万円もらってプランナーへそのうち5万円を支払う、といった具合に差額が大きくなるので
- プランナーの報酬を増やすという目的の達成難易度が高くなる、かつ将来的な事業拡大の難易度も上がる
これらのデメリットがかなり大きいと判断したのと、このモデルのサービスで活動していたプランナーたちから「報酬が不透明で意外と稼げない」という声も多く聞いていたので、この案も却下になります。
③プラットフォームモデルの検討
イメージとしてはpairsのようなマッチングアプリのモデルで、契約主体は式場とプランナー、アナロジーはそのマッチングの場所を提供することになります。他業界だとクラウドワークスやランサーズが有名ですね。
報酬の中抜きがなく透明性が高い、プランナー/式場が自分で契約先を選択できるので稼働の自由度が高いことがメリットである一方、自分で契約先をプラットフォーム上で探さないといけない、契約等の手続きを契約の都度行う必要があるなど工数負担が大きいことがデメリットだと言えます。
ただ、運用工数負担の部分をどうにか円滑に行えるようにすれば③が一番理想に近いなと思ったので、プラットフォーム型のモデルでの事業立ち上げを決断します。
Wedding Me Worksの将来的な事業拡大を目指す場合の重要なポイントは何か?
ビジネスモデルは決まりました。
ただ、ブライダル業界内に同じモデルのサービスが当時はほとんどなかったので事業者もプランナーも慣れていなかったこと、運用が煩雑化すると企業とプランナーの工数が増えて使いにくいサービスになってしまうリスクを抱えていること、これらを加味して事業の詳細を詰めていくことが必要になります。
プラットフォーム型のモデルが浸透していない点については、正直時間が解決すると思っていました。というよりもWedding Me Worksが事業成長していけばそれがだんだんと広がっていくんじゃないかな、と。なので立ち上げりの懸念ではあるものの(特に企業側が理解してくれるかどうか)、そこは初期の営業を市川が頑張ることで何とか解決していくつもりでスタートします。
一方の運用工数については、事業が拡大するほど膨れ上がっていくところになるので、立ち上げ時から効率化を念頭に走り出さなければいけません。
なので、運用にシステムを利用することは初期から決定事項として開発を進めることになります。具体的には、以下のようなタスクはすべてシステムで行うことができるようにするつもりでした。
- プランナーと企業側のアカウントの管理
- 案件情報の管理
- 契約情報の管理
- プランナーのシフトの管理
- 案件稼働(出退勤)の管理
- 請求情報の管理
売上が1円も立っていないときからこれらの機能を包括するシステムを内製開発する意思決定はけっこう怖かったんですけど、やらなきゃいかんよねということで覚悟をもって踏み出すことになります。
まとめ
ということで、第5話をお送りしました。ここまでで、ようやく事業立ち上げスタートになります。
この記事は2年前を振り返りながら書いていますが、今考えてもけっこう大きな意思決定だったなと思います。また、後にわかることですが効率的に運用できるようにと考えて開発したシステムが「システムを使わないといけないから大変」と言われることがあるなんて当時は思ってもいなかったです。ニーズを正確に把握することってホント難しいですね。。
どんなサービスを立ち上げるかは決まった、ここからはいよいよ実行のフェーズに入っていきます。